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100冊の中の星新一に始まり

夏も終わりの今頃になって各社夏の100冊が気になって買ったりしている。

☆まず星新一『きまぐれロボット』

星さんの作品は、短く楽しく解釈がどうのというよりも持っている乾いた空気の面白さみたいなものがあって好きだった気がする。

ついこの間聞いたんだけど、何でも友人の小学校5年生の男の子が、塾みたいな所で作文の課題図書として与えられたのがこれなんだそうな。SFの部類に入るらしいし、『ブランコの向こうで』のようなお話も書いているから読みやすいとは思うんだけど
この、短編でぱさっとつくオチに対して、感想を書くのは中々難しいのではないかと思うんですがどうなんでしょ。

余程開放的にユーモアが解る子ども、でも今時の小学生なら楽しめるのかなあ、、、って自分も読んだのは小学校の高学年だったかも(苦笑)

それで思い出したのは文藝春秋からハードカバーで出ている「はじめての文学」っていうシリーズがありますよね。これは「文学を初めて楽しむ人のための」って注釈がついている所では中学生、もしくはそれ以前もターゲットにしているんでしょうか。実際には何歳位の人が買っているんだろう知りたいなあ。
村上春樹、村上龍、よしもとばななを読む小学生って何だか凄そう、負けちゃいそう。


話は戻って「100冊」の中の星新一作品は『ボッコちゃん』が新潮から、気まぐれロボットが角川から出ています。角川の中の挿絵は和田誠さんが描いているんですが、一本の線だけでこんな楽しい絵、大好きです。私の中では堀内誠一さんと同じ位好きなイラストレーターさんです。

でも、星新一と言えば『ボッコちゃん』の真鍋博さんの絵。特に悪魔の絵が可愛いんだけど怖くて、遠くに小さく描いてあるのが忘れられなかったんですよね。おとぎ話の様に書かれているのに怖いお話が一杯詰まっている『ボッコちゃん』グリムみたいっていうか、アンデルセンの『影法師』を思い出すっていうか、、。




☆次は、梨木香歩の『村田エフェンディ滞土録』
この作家さんは『裏庭』で日本ファンタジー大賞をとってデビューした作家さん。引きこもりのファンタジー、なんて揶揄する声もあったそうだけど、そもそもファンタジーは書き手のココロの深層までくぐって初めて出て来る話だと思うので、ある意味引きこもりは当然じゃないですかい?

というか、文学そのものが、自分の内面を見ようとする気持ちが書かせたものではないか、読む行為も同様、と思えばそりゃあ自分に一時的に引きこもるってことだわね。私はこの人の『家守綺譚』も好きですよ。




☆そしてもう一冊は谷川俊太郎と沢野ひとしの『18歳』っていう詩集。
「本を/たくさん/頭の中に/あるばむを/一冊/胸の中に/そして/出来るなら/天国を/心に深く/わたしはもちたい/くるかもしれなぬ/独りの時のために」
っていう詩にしびれて購入したのでした
by t2mina | 2007-08-27 22:59 | 本・映・音・展